心配する二人に「大丈夫」だと伝える。それでもなお二人は心配の眼差しを私に向ける。
さっきは大きな声であんなこと言ってたけど…
本当は。
──すごく怖かった。
だって私は弱くて、意気地無しで……
勇気のヒトカケラも持ってなかったはず。
なのに〝若菜を守りたい〟って、そう思ってた自分に気がついて。
──こんなにも強くなれた。
「愛ちゃん…ごめんね。痛かったやろ?」
若菜がビンタされた私の左頬に優しく触れた。そこから温かさが染み込んで来る。
若菜が叩かれなくて良かった…
若菜が痛い思いしなくて良かった…
本当に良かった。
「大丈夫。若菜……ありがと…っ」
涙を流す理由なんてないはず。でも今流している涙は悲しい涙ではない。
嬉しい、涙。
きっと。きっと。きっと。



