空に叫ぶ愛

静かな教室には今、どんな空気が流れているのだろうか。私には読み取れない。

今は、そんな余裕ない。



「綺麗ごとばっか……綺麗ごとばっか言わんでよ!」



再び吉村は右手を振り上げた。私はぶたれる覚悟で目を瞑る。


しかし一向に痛みはやってこないし、あの乾いた高音も響かない。


あれ…?


ゆっくり目を開く。



「ホントいい加減にしとけ」



え……


空が私と吉村の間に立ち、吉村の手首を受け止めていた。



「もう見てられん。手は人を叩くものじゃなか」



そう言うと空は吉村の手を放した。吉村は面食らったように目を開く。


今、吉村はどんなこと考えてる?


すると吉村は居心地が悪くなってか走ってどこかへ行ってしまった。


私はスルスルと力がなくなり地面に座り込む。それを見て空と若菜が寄って来る。