空に叫ぶ愛

「いい加減しつこい!」



吉村が若菜に向かって手を振り上げた。その瞬間、考えるより先に体が動いていた。


──パンッ!!


乾いた高音が教室に響く。一気に周りがシーンとなり、無音になった。



「愛…ちゃん…?」



か細い若菜の声。

若菜をかばって吉村からビンタされた左頬がジンジン痛い。

キッと吉村達を睨む。



「いい加減にしないといけないのはアンタ達でしょ!?若菜をいじめて楽しい?」



私の激しい怒りに吉村達は目を見開く。

今度はクラスメイトを見ながら言う。



「アンタ達も!若菜が苦しんでんの見ててなんとも思わないわけ!?何で助けないの!?」



私らしい言葉で。
相手の心に訴え続ける。



「もう、いい加減やめよう。戻ろうよ。何も知らなかった純粋だった頃にさ」



そうすれば、きっと…───



「言葉は人を傷つけるためにあるんじゃない。励ましあったり、想いを伝えるためにあるの」



相手にちゃんと届くはずだから…───