若菜は「初めて手を差しのべてくれた」って言っていた。とういうことは、空もいじめを見て見ぬフリしていたことになる。
空はみんなとは違うって思っていたのに……
すごく、残念だ。
その瞬間、なぜか胸がズキッと痛んだ。
そしてギュッと締めつけられた。
「ちょっと待てって!」
突然握られた手。
そのせいで前進できなくなった。
ちょっと!
「放して…!」
空の手を払いのけようとしたが、空の手は私の手を放そうとしない。
なんなの!
「空はいじめられてる若菜のことを見て見ぬフリしてたんでしょ!?そんな薄情者と私は関わりたくない!」
早口で激を飛ばす。
空はなんとも言えない瞳で私を見ている。
「確かに……俺は原田を助けてやってない。やけど見て見ぬフリをしよったわけでもなか…」
え?
「助けたくても、何もできんやった。俺が原田をかばってもいじめが広がってしまうだけやから…」
あ……
空も水島先生と同じなんだ。
空だってクラスの人気者。そんな人が若菜をかばってしまったら…



