しばらく走ると最初の勢いはどこへやら。
フラフラと一歩一歩がしっかりしなくて。力がどこにも入らない。
視線も自然に下にいく。
力なく上を見ると、そこには私と正反対にキレイで強い空が広がっていた。
ぼんやり空を見ているとカラスがバサバサ!と勢いよく飛び、頭にグチョッと嫌な感触が……
最悪。
糞をかけられた。それを見ていた周りの人がクスクスと笑う。
カラスが私を嘲笑うかのように鳴いた。
周りの人の笑い声も頭に響く。
……気のせいか頭がくらくらする。
私は再び走り出した。
居心地が悪い。
どこにも私の居場所がないようなそんな感覚。
――消えてしまえ。
そう、どこからか聞こえたような気がした。
――私なんて生きていてもしょうがない。
――私なんて生きてる価値がない。
そう思った。
気づいたら、また、走り出していて……
まるで何かから逃げるように。



