空に叫ぶ愛


「愛さぁ、熊本さんの悪口も言ってたよね」


……は?


「あー、言ってた言ってた。ウザいとか調子乗ってるとか!」



待ってよ……

それ、言ってたの由希と明里じゃん。



「は?マジ?……つか、友達の好きな人、奪ったやつに言われたくないっつーの!」



鋭く睨まれる。だけど私も負けじと睨み返す。



「私、言ってない!熊本さんの悪口言ってたの由希と明里じゃん!」



負けない。

負けたくない。


こんなやつらなんかに……



「は?なに人に自分の罪なすりつけてんの?」



由希との睨み合い。だけど急に不気味な笑みを浮かべた由希。


な、なに。



「友美に聞けば早くない?ねぇ、友美。熊本さんの悪口言ってたの愛だよね?」



愛を強調して言う由希。


友美は「え…」と声を漏らし、バツが悪そうに私と由希達を交互に見る。


きっと、由希達は白黒はっきりさせたかったんだと思う。


友美ははっきりと私を突き放さないから。


だけど、私は信じてた。


悪口を言ってたのは由希達だ、と。

いじめなんて間違ってる、と。


また前みたいに戻れるって信じてた。