「友美もこっちおいでよ~」
熊本さんの声に友美はビクッと肩を揺らし、こっちを見るなり歩いてやって来た。
友美を見つめる。だけど、一向に交わらない視線に一瞬だけ恐怖を感じた。
私が本当に怖いのはいじめじゃない。
私が本当に嫌なのはいじめじゃない。
もちろん、いじめは怖くて嫌だけど、それ以上に恐れていることがある。
――友美に見放されること。
それ位に友美は私にとってかけがえのない存在だったから……大切だったから。
中学の頃。友達を作るのが苦手だった私は中学に入ってからずっと一人だった。
だけど友美は私に「一人って寂しくない?良かったら友達になろ!」って言ってくれた唯一の人。
唯一の友達。
だから、大切にしようって。
だから、失いたくないって。
だから……―――
すごく大好きで。
すごく大切すぎて。
だからこそ、それを失った反動は大きかった。



