「ねぇ。友美の好きな人奪ったってホント?」
悪口を言われ続け一週間。
“友達の好きな人を奪った”という肩書きを背負った私の見方なんて当然いなくて。
クラスのみんなは“いじめ”という事実を見て見ぬふりをする。
もちろん、鈴木光樹も。
私はあの日、友美を泣かせた日に鈴木光樹をフッたから。
…久しぶりに話しかけられた人物。それはクラスで1番力のある熊本さんだった。
「本当だよね~?愛」
そこに割って入ってきた由希と明里。
私は「違う!」って咄嗟に訴えた。
しかし。
「へぇ。本当なんだぁ」
熊本さんは私の言葉をいとも簡単に聞き流し、しかも私を嘲笑うかのように口の端を上げていた。
なんで……
なんで、信じてくれないの?
今、違うって言ったじゃない。
聞こえなかったの?
今こうして思い返すと、これは由希や明里達のシナリオ通りだったんだなと今さら気付く。
……何で気付かなかったんだろう。
最初から熊本さんは私の言葉なんて聞く気がなかったこと。
私がなんて言おうとこの人達には関係なくて。この人達は私を直接攻撃するためにわざわざ話しかけて来たんだ。
――言葉のリンチ。
それに気づけないほどに、私の頭はテンパっていたんだと今さらのごとく思う。



