鈴木光樹は一瞬びっくりした顔をしたけど
「そうだな。んじゃさっさとやるか!」
と、無邪気に笑顔を見せた。
この笑顔に女子達はやられるんだろうね。
そして全ての作業は思いのほかスムーズに進み、終了した。
「生き物係も意外と疲れるんだな」
「うん。水槽とか汚すぎ…」
そう二人で笑い合う。
そして私は鞄を持ち「じゃあ、帰るね」と鈴木光樹に背を向けた時。
「あのさっ!……」
と、引き止められた。
私が「ん?」と後ろを振り向くと、鈴木光樹がおもむろに私に歩み寄る。
な、なに?
思わず身構える私。
「俺と、付き合ってくれね?」
心に重りがドーンと乗っかった感覚。
目を見開いたまま私は持っていた鞄を落とした。
「なんで……」
「なんでって……お前が好きだから」
――聞かなきゃよかった。



