状況が読み取れないが、なぜか母さんが俺に覆い被さるように、俺を……抱き締めていた。 お、重い……! だけど思ったように声が出せない。 「せ…先生、呼んで来る!」 そう言ったのは確かに父さんだった。 なにが、どうなってる? 俺、夢でも見とうとかいな…… 「そらぁ……良かった。良かった……」 愛?泣いとるん? そんなに顔をぐしゃぐしゃにしてから…… 愛しさがドッと溢れる。 「…あ…い……」 やっとの思いで出た声は掠れていて、声と読んでいいものかもわからないような。 なんとも情けない声。