空に叫ぶ愛

───…だけど。


あの人達は空に声をかけないまま、家の中に入って行った。


自分の子供が目の前にいて、声をかけないなんて……


気づいてないわけがない。



「愛」



ビクッ!



「中に入ろう……風邪、ひくけん」



……びっくりした。


びっくり驚くぐらい、それくらい空は穏やかな顔をしていたから。



それは、微笑んでいるようで。

でも、

ひどく傷ついているような。



そんな悲しい表情にも見えた。

難しくて上手く表現できないけれど。


ただ。


その表情は私の胸に後味悪く、いつまでも残って消えなかった。


もわっ、と曇りかかる気分。


空…────。