「笑うなや…」
すねている空はなんだか小さな子供のようで。それがまた面白い。
"可愛いな…"なんて思った時、ハッと我に返った。
可愛い…?
……どうかしちゃってる。
「……じゃあ、朝のHRは終わり」
普段の私に戻ったところで浜田先生の声がハッキリと聞こえてきて。
途端にすごい勢いで女子に囲まれた。
な、なに…?
「ねぇねぇ、彼氏おるん?」
……は?
「髪の毛染めとうと?」
「可愛かねー」
「どこら辺に住んどるん?」
「メイクしとう?」
「今から数学ばいっ!」
いやいや…
そんな一気に言われても。
耐えかねた私はガタタッと席を立ち「ト、トイレ…!」と、女子達の間をすり抜けると走ってトイレへと逃げ込んだ。
水道のシンクに手をついて、鏡に映る自分を見る。
なんなのよ……
心が、
心臓がうるさい。
想像以上に戸惑っているのがわかる。
こんなに私のハートって弱かったわけ?
情けない……



