空に叫ぶ愛

「嘘。しよったやん!こんな風に…!」



───…その瞬間。


私はいっきに奈落の底へ落ちるような、そんな地獄の感覚に襲われた。


悲鳴。

誰か、私のじゃない悲鳴が聞こえた。


───…夢だ。


本当に今起こっていることが夢だったら、どれだけ救われるだろうか…?



篠山さんが、空に重なるように

キスしている姿が。



夢によってつくられた幻想だったら、私は泣かなかったのだろうか。



見たくない。

見たくない。

見たくない。



……のに、目が離せない。


まるで磁石に吸い付けられるように、視線が二人を捕らえて離さない。