空に叫ぶ愛

その時。空は嫌な空気を切るように自分の席に座った。



「愛は俺の彼女やし。水島先生なんかと付き合っとらん」



イライラしたような空の声。
私はそんな空の姿を見つめるだけ。



「でも、見たっちゃもん……愛ちゃんと先生がキスしよるとこ」



やっぱり、誤解していたか。


……顔、近づけすぎだったのかな?


あの時は、とにかく若菜を泣かせないでと先生に言いたくて。


必死すぎた。



「ねぇ、愛ちゃん」



教室にいる誰もが私の言葉を息を飲んで待っている。



「キスなんて……してないんだけど」



当たり前じゃない。

……まだ、空ともしてない。


ファーストキスだって。