side*空



俺はもう絶対〝死にたい〟なんて弱いことは言わない。


俺には〝守るべきもの〟ができたから。


いや、正確に言うと守るべきものが帰って来たと言う方が正しいのかもしれない。



瞳を閉じれば今でも思い出すことは簡単にできる、君の笑顔。


君の、幼い日の笑顔……────




『泣かんで?』


『……そらくん…?』


『僕が守っちゃるけん。やけん、泣かんで?』


『…ありがとっ。そらくん!』




君はそう言って笑ったね。


あの日から僕は君の笑顔が大好きで。君の笑顔が守るべきものになったんだ。


───僕の生き甲斐になったんだ。



でも、次の日。君はいなくなった。


悲しくて、泣いた。


あの日から君を忘れたことなんてなかった。


そして、あの時。


君を見た瞬間、奇跡かと思った。


キキィという自転車のブレーキ音と共に甦ってきた愛しい記憶。



愛……────。