深く息を吸って喋りだそうと口を開いた時「ちょい待ち!」と止められた。
なによ。
せっかく話そうと思ったのに。
「もう10分休み終わるけん、屋上行く?」
時計を見ると、確かに時間もない。
うなずいて立ち上がり、2人で屋上へと向かった。
──ギギッ……
屋上の扉は錆び付いていて、なかなかスムーズに開かない。
と思ったら、翔が片手を扉に添えただけでスムーズに開いてしまった。
やっぱり馬鹿でも男の子だね……
「暑っ……」
「中の方がよくない?」
夏の日差しだけで汗がジワッと出て来る。
こんな所で話していたら二人とも熱中症になってしまう。
「そうやね」
私と翔は屋上一歩出前の踊り場で話すことにした。



