* * *

10年前…
俺は7歳(小1)で梨亜は9歳(小3)だった。


「梨亜が帰って来てないの!!」

「えっ!?」

突然かかってきた電話。
微妙に漏れていた梨絵さんの声を聞いた俺は母さんの服の裾を引っ張った。

「かあさん!!
りあ、どうかしたの?」

「梨亜が…まだお家に帰って来てないんだって…。
いつもならもう帰ってきてるのに…
晴輝、何か知らない…?」

「…っ…!!」


俺は家を飛び出した。


「ちょっ…晴輝!?」


あの時の俺に、母さんの声なんか聞こえなかった。

小学1年生ながらに梨亜のことが心配になって、俺は無我夢中で走った。


こうえん…?
がっこう…?
スーパー…?
もしかして…つれていかれちゃった…?

小1の俺の頭によぎる不安。

「りあっ!!りあーっ!!」





「はる…き…?」