顔が見たいけどお面が邪魔で見えない






「先生…あの綾部様から作戦があって先生を助けだす…」


「知ってます…僕を助けてくれた彼から聞いたからね。とりあえず会場を出ましょう…」



私はコクリと頷く
薔薇を私の髪に指し手を取ってくれた





夢みたい



先生と 舞踏会にいる…なんて








歩き出そうとした瞬間




バタンと扉が大きな音を立てて開いた




楽団も踊ってる人も何事かという顔で扉をみる




花園亜美子さん
髪を振り乱しドレスは少し乱れていた




彼女は 息をきらしながら叫んだ




「逃げられないわよ!!藤堂久白!」










先生は、にやっと笑って仮面を投げ捨てた


お芝居みたいにわざとらしい仕草で




会場はざわめきだした。



「藤堂…久遠様の孫の…」

「…彼が…、」









「地下牢から抜け出せた事は誉めて差し上げるわ、先生。…よくも舞踏会に潜り込めたわね」




「…優秀なパートナーがいたし…なにより警備が甘かったからねぇ。今頃はみんな寝てしまったんじゃないかな…、睡眠薬入りのお茶を飲んで…彼等相当疲れていたようだから」