「サ、サラリーマンじゃないよなぁ」
だいたい平日のこの時間にあんな恰好でこんな場所に居るわけがないし。
――って……
腕時計に目を落とすと、もうすぐ長針が12を指そうとしている。
「ぅわっ!」
振り返ってエレベーター前を見るとすでにその男性の姿はなくて。
ホッとしながらも早足でエレベーター前に行き、ボタンを連打した。
この時、私が上を見上げてエレベーターのいる階数を見ていれば、踵を返して帰っていただろう。
エレベーターの止まっていた階数が『3』だったという事を、私は知らずにいたんだから……
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