だけどそんな表情の波留さんから私は目を逸らす事が出来なくて。 ドキドキとせわしなく鼓動する胸。 波留さんの…… 笑い上戸の姿も好きかもしれない。 うっわ…… 完全に自覚しちゃったかも…… 「おはようございまぁす」 百合さんの声にちょっとだけ反応した波留さんは笑いを堪えながらも傍にあった領収書より一回り大きな冊子をパラパラめくると 「百合、こっち」 百合さんを手招きした。 ――『百合』 波留さんの口から零れた百合さんの名前。 私と同じく呼び捨てで。 その響きに今度は胸がズキンと痛んだ。