そんな私の表情に気が付いてくれた波留さんは少しだけ苦笑い……

したように見えたんだけど。



「もしかして事務経験はなし?」

「はい。接客しかやったことないです」



正直に告げると、波留さんはいやな顔をひとつもせず説明してくれた。


どうやら印刷所から届いた新しい領収書にゴム印の社判を押し、社名に少しだけ被さる様に朱肉で角印を押す作業をするらしい。



「これ……全部ですか?」

「うん全部」



にこやかに笑う波留さんの顔が少しだけ悪魔のように見えるのはきっと気のせい?


冊子はゆうに30冊はあって、1冊を手に取りパラパラめくると通し番号は50番。

どうやらカーボンになっているから1番に用紙が2枚。



ってことは……