結局昨日は誰も名字で呼ぶ事がなく、雑用は新入社員の充君の仕事となったんだ。


明日は充君の掃除、手伝おうかな?


そんな事を考えながら鞄を隅にある長テーブルに置くと



「香穂、ちょっといい?」



波留さんに呼ばれた。



香穂……香穂って!


ただ呼び捨てで呼ばれただけなのに、心拍数がどんどん上昇中の私。


な、なんだか特別って感じじゃない?



「香穂?」

「はっ、はい!」



その場から動かない私に波留さんは首を傾げていて、すごい勢いでポンプ運動する心臓を軽く押さえながら慌てて波留さんの元へと駈け寄った。