彼は大久保さんや佐野さんと同じ社員だけど、新入社員らしく雑用ごとをこなしているみたい。
｢お茶持ってきますね｣
椅子を渡してくれた後、部屋から出て行く青木君を３人で見ていた私達に佐野さんが話しかけてきた。
｢結構、うちの会社ってフランクでさ。名字より名前で呼び合ってんの。だから俺らの事名前で呼んでね。名字だと堅苦しいし｣
そう言われても……
助けを求めるように私の横に座る熊谷さんを仰ぎ見ると、彼女は顎に人差し指を添えながら
｢私達は聡君、香穂ちゃん……｣
そこまで言ってからなぜか形の整った眉を潜める。
｢えっ？何？｣
佐野さんが少し慌てて彼女に問いかけると
