「香穂ちゃんからの連絡を待ってるから」
それだけ言うとコツコツとヒールの足音が遠ざかりパタンと扉の音がした。
静まり返ったトイレの中には溢れて止まらなくなった自分の嗚咽が響くだけ。
どれくらい座りこんでいたのだろう。
止まらないと思っていた嗚咽も出尽くして、力の入らない手首を何とか視界の端に捉えると
「15時……」
便座に両手を付いて、何とか足に力を入れて立ち上がる。
バイトだから……
17時までは働かないと。
途中で放り出す事は出来ない……
重く感じる足を引き摺りながら個室のドアを開けると、ひんやりした空気が頬を撫でる。

