俊さんにはただ黙っていて欲しいと言って頭を下げて。
「先生が覚えていてくださっていた事に完全に舞い上がって……」
そこまで言うと百合さんの言葉が途切れる。
唇を噛みしめながらも百合さんの話に耳を傾けていた私は思わず扉に向かって顔を上げた。
まるでその仕草が見えたかのようなタイミングで……
「香穂ちゃんの気持ちを踏みにじってしまって……ごめん……」
囁くように言われた謝罪の言葉は私の心を深く貫いた。
百合さんは……
私の気持ちに気付いていた?
思わず口を開きかけて、堪えていた嗚咽が外へ出る。
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