「後はよろしく」と部屋を出る彼の背中が入口の扉で見えなくなるまで私の目は彼の姿を追いかけていて。 「お〜い!菊池さぁん」 「あっ、すいません。び、びっくりして……」 今の私はどんな顔をしているんだろう? 「波留さんは直感で動くからね」 「ほ、ホントに採用なんですか?」 「うんうん。責任者の波留さんが採用って言ったしね」 佐野さんは笑いながらバイト初日の服装や必要事項を簡単に説明してくれる。 連絡先を聞かれ、簡単な雇用契約の紙を受け取った私は、会議室を後にした。