「バイトってどれぐらいの人数がいるんですか?」 「君を入れて3人」 答えてくれたのは大久保さんだった。 私を入れて……? 「へ?」 驚いて顔を上げると、私は思わず息を飲んだ。 そこには初対面の時の鋭い目ではなく、穏やかに微笑んだ優しい笑顔があって。 ――ドクン…… ……ドクンドクン…… そのギャップに心臓がうるさく動き出す…… 「菊池さんは採用ね」 彼は長い前髪をゆっくりと後ろへ掻き上げると、口を綻ばせて笑い、隣に居た佐野さんの肩をポンポンと叩いて立ち上がった。