頭の上で聞きたかった声が聞こえ顔を上げたのと充君が「波留さん、お疲れ様です」と言ったのが同時だった。
「今のところは絶好調です」
「はは、絶好調か」
私の切り返しにククッと笑う波留さんは会議室で見ていた波留さんの顔で、今日初めて見たと思うと嬉しくなる。
「13時からトークイベントが始まるから、そしたら休憩に入って」
「はい。でも受付は大丈夫ですか?」
「俺が入るから大丈夫」
波留さんが受付?
びっくりして思わず波留さんを凝視すると肩を竦めて
「立ちっぱなしは疲れるからさ、ちょっとはこっちで座ろうと思って」
頬をポリポリと掻く右手の薬指には、きっと会社のものだろうメンズリングがはめられている。

