「10時からお客さんが来られる。30分前にはそれぞれのブースの準備は終わらせてくれ。あと……」
波留さんは一旦言葉を区切ると後ろを振り返ってから一歩右へ移動した。
「今回のイベントを手伝ってくれるバイトの人達だから。困ってそうな感じだったら助けてやって。充、社員証」
そうして私達3人を紹介する波留さん。
名前を呼ばれてよろしくお願いしますと頭を下げると全員が同じように返事をしてくれた。
充君は濃紺のスーツのポケットから首に下げるプラスチックのカード入れを波留さんへ手渡す。
波留さんがチェックした後、受け取ったカード入れの中には『ST商事㈱ 菊池 香穂』と書かれていて。

