その新聞広告を見たのは、ホントに偶然だったんだ。
――短期アルバイト募集
朝からバイトの私は食卓に座って、母が用意してくれたトーストにかぶりつく。
出勤前の父がいつも通り新聞を広げて読んでいて。
邪魔だと言わんばかりにテーブルの端に置かれていた広告の束。
金曜日の割にたくさん入っていた広告をまとめるため半分に折られたカラー広告の一番上に白抜きの文字で書かれていたんだ。
いつもなら視界に入ることなく母がスーパーや薬局の特売が書かれてたものだけを抜き出して終わる紙の束に私が手を伸ばしたのはほんの偶然。
