あの優しさに、結局騙された3年間だった。
「…お母さんが亡くなってから、勉強に身が入らなくて。志望校を下げたんです。」
私は別にレベルが高い高校じゃなくて良かった。高校なんてどこでも良かった。
普通のレベルの高校で勉強の毎日より、友達と思い出を作りたくて。
「志望校を変えようとしてること、言えなくて…、下がっていく点数に先生は、ガッカリして…。私に言ったんです。"今まで3年間、見てきたのは吉崎七海の妹だからだ。高いレベルの高校に行ってくれると信じていたからだ"…。」
"姉の方が出来が良かった"
最後に言われた一言が胸にささる。
1番比べてほしくなかった。
小さい頃から、近所の人達に比べられて、皆お姉ちゃんに期待してた。
清水先生は、私を応援してくれた。
お姉ちゃんはお姉ちゃん。
私は私だって認めてくれてるって勝手に信じてた。
もう、笑ってくれない清水先生を前に、"教師"って何も見てくれちゃいないんだって。
結局、自分のため。
誰もかも。
どれだけ優しくても。
どれだけ偉くても…。
信じた方が結局辛くなる。


