高木先生:「…。俺のも小さいな。」
ポンポンと先生の大きな手が優しく私の頭を叩く。
高木先生:「自分の過去は、自分だけのものだ。…比べてたらキリがないぞ。」
「……先生はどうして笑ってられるんですか?
…私、中学の時、3年間勉強を付きっきりで教えてくれた先生がいたんです。」
高木先生:「…うん。」
もう、昔のことなんて誰かに話すことはないと思ってた。
だって、思い出したくなかったから。
でも、高木先生の傍にいると自分が強くなれる気がした。
もう一度、過去と向き合える勇気が沸いて来る。
「男の先生で、怖い感じなんだけど、凄く優しくて…私に必死に勉強を教えてくれた。」
蘇る中学1年生の時の清水先生の優しい笑顔。
「頑張れ、姉と同じ高校を目指せ。もしくは、その上を…私なら望みがあるって。」
今思うと、もうその時からお姉ちゃんと並べられてたんだ…。
でも、私は先生の期待に答えようって頑張った。
何より、私に必死に教えてくれる、先生を信じてたから。
「信じてたんです。私のために頑張ってくれてるって。」


