私と先生の365





高木先生:「…。俺のも小さいな。」


ポンポンと先生の大きな手が優しく私の頭を叩く。


高木先生:「自分の過去は、自分だけのものだ。…比べてたらキリがないぞ。」


「……先生はどうして笑ってられるんですか?
…私、中学の時、3年間勉強を付きっきりで教えてくれた先生がいたんです。」



高木先生:「…うん。」


もう、昔のことなんて誰かに話すことはないと思ってた。


だって、思い出したくなかったから。


でも、高木先生の傍にいると自分が強くなれる気がした。


もう一度、過去と向き合える勇気が沸いて来る。


「男の先生で、怖い感じなんだけど、凄く優しくて…私に必死に勉強を教えてくれた。」



蘇る中学1年生の時の清水先生の優しい笑顔。




「頑張れ、姉と同じ高校を目指せ。もしくは、その上を…私なら望みがあるって。」



今思うと、もうその時からお姉ちゃんと並べられてたんだ…。


でも、私は先生の期待に答えようって頑張った。


何より、私に必死に教えてくれる、先生を信じてたから。


「信じてたんです。私のために頑張ってくれてるって。」