とりあえず、こんな時間だし、アイツも、腹減る頃だろう。


料理は苦手だが、長年ひとり暮らしをやってきたんだ。何か作ろう。


と、吉崎をほったらかしてキッチンに向かう。




確かに、成雪さんと顔立ちが似ているな…。ふと、思い出す。



まさか、俺の生徒で1番引っ掛かる吉崎だったとは、想定外だったけどな。


今日だって、この家に来た時は一目散に逃げようとしたし‥。全く…、俺が何したって言うんだよ!

…ってさっきからこんな考えばっかだな俺は…。


パカッとお鍋の蓋を開ける。本日のメニューは簡単なカレーだ。料理苦手な俺でもできるんだこれは。



カチャ、とドアが開く音に振り返ると…ブスッとふてくされた吉崎が、ダイニングに座る。



…、(笑)


「匂いに釣られたか?(笑)」



吉崎:「別に、お腹減ってないです…。」



「そうそう、お前の部屋、その隣だから。」


そう言って、カレーを吉崎の前とその向かいに置いて、椅子に座る。

カレーを見た吉崎は、

「…ありがとうございます。」


と言って、少し微笑んだ。