――彼と出会って、 17年目の春。 きっと彼は、家にも帰らず、この野原に私が1人できているなんて、これっぽっちも思っていないだろう。 …いや。いつもは鈍感なくせに私のことだけには妙に敏感な彼は、もしかしたら私の異変に気づいてるかもしれない。 …彼が探しにくる前に、この野原からは出なくちゃいけないな。 『…いい天気だな。』 ふと見上げた朝の空は、澄み切ったように透明な色をしていた。 限りなく、透明。