「…お待たせ致しました」 マスターの声も薄くなるように 俺は完全に君に魅了されていた。 注文したマッカランを一口。 この恋を代弁するかのような ふわっと甘いムスクの香りがした。 「…楽しそうですね」 すべてを見透かすような マスターの一言に焦りながら、 俺は彼女に夢中。 こっちを向いて…という想いと 俺に気付かないで…という想い。 そんな思いで彼女を横目で 見つめていたその時。