「ん?何飲みたい?」 もう一回座り直して聞くと。 「…違くって。」 違う? 言葉数が少ない彼女の心情を読み取るのは至難の技で。 まるであのバーに居たときのシャンパンの隣で何でも見透かしてしまうような。 どこか上から目線と思わせるような姿は無い。 「じゃあ、どうすれば…」 俺の問い掛けに、時計の秒針だけが答えてくれている。 しばらく間を置いて。彼女はこう言った。 「…私を温めて。私を… …抱いて。」