「吉岡が俺の傍に落下してきたと言う事は、
あいつは俺に犯人を捕まえてくれ、と言っているように感じた。
だから警察とは別に調べてみようと言う気になった。
が、口外無用だぞ。
また何か分かった事があったら教えてくれ。
悪かったな、呼び出して。」
そう言うと京介はその場から離れている。
後で道直はクラスメートに囲まれて問い詰められたが、
口外無用、と言われた以上、
京介の真意を話すわけには行かない。
適当な事を話して誤魔化した。
それにしても京介の行動には驚かされる。
普通なら、今は何をさておき、
試験の結果が気になるのでは無いのか。
三年生ではない直道でも気になっている。
「東条、刑事さんがお前の話を聞きたいそうだ。
職員室に来てくれ。」
生徒の一人が墜落死したということで、
生徒に対しては過剰に対応しているのが普通だ。
しかし、担任の高木、
自分に食って掛かって来た東条京介の性格を考え、
同じ学校の生徒が近くで転落死しても、
そのショックのあまりカウンセラーが必要になるとは思わない。
それで校長とも相談して、刑事との面会となったのだ。
京介も自分の耳で警察の考えを聞きたかった。
「この生徒が今お話した、あの時、私と一緒にいた東条です。」
高木は京介が職員室へ入るとすぐに応接間に誘い、
そこにいた二人の刑事に紹介した。
「君は吉岡君が墜落した時にすぐ屋上へ行ったと聞いたが。」
「あの時、吉岡の所へは先生が駆けつけて様子を見ていた。
俺は屋上から見ている女を見たから屋上へ行ってみた。
酒井和美はただ怯えて泣いていた。
酒井和美と死んだ吉岡は仲が良かったらしいからショックも大きいと思う。
二人にトラブルを抱えるようなことも無かった。
今のところそれぐらいの情報しか無いが… 」
その京介の言葉に二人の警察官は顔を見合わせている。

