「おはよう、河岡」


 と挨拶の声が聞こえてきた。


 同じ学科で専攻も同じドイツ文学の棚原哲弥(てつや)だった。


「ああ、おはよう」


「おはよう」


 僕も慧子も各々挨拶を返し、新しい一日が始まる。


 研究にはもってこいの秋の一日が……。