Ph.D.の価値はほとんどない時代だが、ドイツ語などを勉強していて院でも博士ぐらいまで行くと、もう企業は採用しない。


 これだけ就職難が続いているからである。


 だからこそ、研究の方に面白さがあった。


 素直にそう思える。


 僕は慧子と並んで歩きながら、一日が終わるのを感じた。


 勇太君の家庭教師の契約も来年三月までだったし、契約が無事終わった後、別の生徒さんを探すつもりでいたが、全く予定を変更して勉強に専念することに決める。


 時折雪が舞う街を歩きながら、僕たちは幸せを感じ取っていた。


 やがて別れ別れになり、僕は自宅マンションに帰り着くと、シャワーを浴び始める。


 着替えのシャツやトランクス、ソックスなどはちゃんと用意していた。


 一人暮らしなので、そういった洗濯などは心得ている。


 そして寒い夜を何夜も過ごしながら、時が流れた。


 二人きりで過ごした甘い甘いクリスマスが終わり、正月も過ぎ去って、三年生の後期試