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「もうこんな季節だね」


「ええ。……あたし、今年はやけに疲れちゃったわ」


「一年振り返って?」


「うん。何かいろいろとありすぎて、参っちゃった」


「そう……」


 僕たちは学内のカフェでお茶を飲みながら話す。


 ゆっくりと時間を過ごしていた。


 普段はドイツ語の文献ばかり読んでいるので、頭が疲れるのだ。


 僕が借りてきていた本を開いて、時折目を落としながら、慧子と話をし続ける。


「来年はどんな年になるだろうね?」


 僕が不意にそう言うと、彼女が、


「まあ、来年四月で四年生なんだし、研究も進むわよ」