この季節はホットコーヒーが恋しい季節だ。


 僕たちは食事を取り始めた。


 メインが豚カツの豚カツ御膳を頼んでいて、僕はライス大盛り、慧子は並盛りにしている。


 昼食を食べながら、窓外に広がる冬枯れた秋光大のキャンパスを眺めた。


 学生は大勢いるのだが、大学というのは週に三日から四日ぐらいしか講義がない。


 科目登録も一、二年生のときは教養の科目なども取って、たくさん詰めるが、三年生ぐらいになると、必須科目とゼミ、それに卒論だけだ。


 僕たちは大学に残るつもりでいたし、院で学位を取得した後も助手などになり、上原先生のお手伝いをするつもりでいた。


 食事の席で慧子が、


「青沼先生があたしたちの方、チラチラ見てたけど、何かあるの?」


 と訊く。


「それは……」