最近のあたしは、かなり乙女思考一直線だった。


二十歳になって、二度目の恋。


どうしたら可愛く見えるか、とかばかり考えてしまう。



「また、読んでるん?」


先に昼休憩に入っていたあたしの元に、皐月がお弁当を持って現れた。


先に食べ終わっていたあたしは、最近愛読している雑誌を広げていたら、皐月に白い目で見られている。



“小悪魔になる方法”


「これには、あたしの人生がかかってんねん!」


「大袈裟なこと言わない」


大袈裟じゃない。


この小悪魔になるための雑誌を読み、研究に研究を重ねて、あたしは小悪魔になりたいと思ってるんだ。


恋の駆け引きが苦手だから、これを読み参考にしてるの。


ピンクの小物を持ったら可愛く見えるとか。


上目使いで、お願いしてみるとか。


香水は甘い香りがオススメだとか。


他にも色々あって、この雑誌はあたしの恋愛の師匠とも言っても過言じゃない。


「千尋君やっけ?
上手くいってへんのん?」

「さぁ……。
上手くも何も、前と大して変わりない」