-ピピピピ。


目を覚ませと、部屋中に目覚ましの音が響く。


音を止めて、また手を布団の中に引っ込める。


サラッとしたシーツに足を滑らせる感覚に酔いしれて、ぽかぽかの毛布に頬づりして。

ああ、なんて気持ちいんだろう。


ウトウト。

また、意識は夢の世界へ導かれていくのがわかる。



このまま、二度寝に持ち込もうとした時だった。




「欄、起きぃや!」


出た。


出たよ、うちのメイド君。

あたしが毎度二度寝しようとしたら、タイミングよく部屋に起こしにやってくる彼。



「ん〜…、まだ眠たい」


「やから、早く寝ろ言うてるやろ」



千尋は派遣会社からやってきたメイドで、それはもうかなり優秀だ。


炊事洗濯家事と、全てを完璧にこなして、怠け者のあたしが、こうしてダラダラとしていたら必ず注意してくる。



まるでお母さんさんだ。


たまに思うもんね、此処は実家で千尋はお母さんじゃないかって。



「だってぇ、みたい番組があったんやも〜ん…」



そう、いくら仕事で疲れて帰ってきても、不思議と家に帰ってくると疲れはとれてしまう。