あたし、こんな強気な態度とっているけど、内心ドキドキしてる。
本当は、今すぐ逃げたいほどだ。
だけど、此処で逃げたら、あたしの恋は終わってしまうから。
終わらせたくないの。
もっともっと、粘ってやるんだ。
そうしたらさ、
「……あ〜っ、もうあかん!
負けた、負けました!
欄さんには、敵わんわ」
頭をガシガシとかきまわした千尋は、ヘラッとだらしなく笑う。
どうやら、粘ったかいがあったみたいだ。
「一緒に家帰るやんね?」
「ご主人様の命令は、絶対なんやろ!?」
その通り。
ご主人様の命令は絶対。
だって、千尋はあたしのメイドだから。
「帰ったら、熱いコーヒーいれてなぁ!?」
「ご命令とあらば、何なりと致しますよ」
「よろしい! ねぇ、千尋」
「なに?」
あたしたちの関係は、はたから見たらおかしな関係。
女のあたしがご主人様で、男の千尋がメイド。
だけどー…。



