恋の相手はメイド君!?

長い前髪で隠れている千尋の目を、下からズイッと見上げた。


反らせないように、目に力を込めて見つめた。



「なんで……て」


言葉を濁す千尋。



「なぁ、千尋って明日からは別の仕事いくん?」


仕方ないから、あたしから話題を変えてあげる。


ご主人様は、メイドに惚れているんで弱いんですよ。


「え……ないよ?」


「じゃあね、明日あたし千尋を予約しにくるから」


「……はぁ!?」



驚いてるし。


あたしは、ニシシッと笑ってやる。


千尋は、困惑しているのかキョロキョロと目を泳がせていた。



「仕事決まってないんやろ?
なら、またあたしのメイドになって。

ていうか、なれっ!!」


「なんで、命令系やねん!?」



うーん、何故命令かって?

それは、決まってるじゃない。



「あたしは、千尋のご主人様やもん」


時間はまだ、12時前。


千尋はブチッたけど、クリスマスまではメイドでいてもらわないと。


仕事は、ちゃんとやらなきゃ駄目でしょ?



「問答無用やからね。
仕事すっぽかしておいて、千尋に反抗する権利はなしや!」