真っ赤なお鼻の〜トナカイさんは〜いつも皆なの…、

「笑いものぉ〜…って、笑うなっちゅーねんっ!!」

「あんた、煩い!」


「だって可哀想やん!?
トナカイさん笑いもんやで?
鼻赤いだけやん!」


ちょっと皆と違うからって、笑いものにするのは酷いと思うんだ。


だから、あたしがトナカイさんを代弁してあげたのだ。



「はぁ〜。 急に呼び出すかと思えば、あんた何よ?」


クリスマスソングがかかる居酒屋で、女二人でお酒を飲む。



そんな悲しいクリスマスを、あたしは選んだわけだ。


選んだというか、選択肢は二つしかなかった。



「一人で過ごすより、まだ皐月がおった方が増し」


「増しってなんや、増して!!
彼氏との約束をブチッて、付き合ってるあたしに言うかっ!?」



朝から昼まで、千尋がいたソファーにボケェと何時間も座ってた。


時間が経つにつれて、千尋の残り香がなくなり、次第に一人が無性に寂しくなって。
あたしは、皐月を呼び出したわけだ。




「ええやん。
昨日は彼氏とラブラブしてんやろぉ」