最悪だ。


今日は千尋と1日デートで、楽しく終わるはずだったのに。

いや、まだ大丈夫だと思うよ?



目の前の先輩が、あたしに声をかけて来なければ………。













店を出てからは、街の中をあてもなく散歩した。


ショッピングしたりしたから、千尋の手には買い物袋が多数ぶらさがっていたけど、文句一つ言わないでくれるんだ。



「他は、何か買うんか?」

なんて、まだ買い物してもいいよって笑顔を見せてくれる。


あぁ、理想だよね。


長い買い物に文句を言わず付き合ってくれたりさ、服とか小物を選ぶ時に外で待ってるんじゃなくて、一緒に選んでくれたりとか。


「付き合わせて、ごめんなぁ?」


と、謝るあたしに。


「楽しいからええて!
あ、これなんか欄さんに似合いそやな!?」


気にさせないように、気を使ってくれる千尋に、あたしはやっぱり好きだなぁと思う。



そこまでは、本当にハッピーだった。



ショッピングモールってさ、人がいっぱいいるのは知ってるよ。