あ〜ん……て。


これはよく、漫画とかで見るラブラブバカップルがやる、あれかっ!?


いいのっ!?


そんなことしちゃうと、あたし死んじゃうかもよ?


でも、ニコニコ笑っている千尋は、あたしに食べてほしいらしい。



ほらほらぁ、と急かしてくるもん。


-ゴクンッ。


唾を飲み込んで、あたしはゆっくり口を広げた。


緊張で、ふるふると唇が揺れていて、それを知られたらどうしよう!って、顔が熱くなる。


「あ〜ん!」

「あ〜…んっ」


-パクンッ。


小さめにしてくれたとことか、千尋は女の子をわかっているなぁと思う。


男の子の前で大口なんて開けられないし。



「美味い?」


コテンと首を傾げて、うつ向きがちなあたしを覗いてくる千尋に、さらに頬が熱をあげる。



そんな状況に、味を確かめるどころじゃなかったけど、期待に満ちた瞳で見られては、何か言わないと。



一生懸命口の中に集中した。



すると、フルーツ独特の甘すっぱさとクリームのなめらかな味と感触が口内に広がる。



「美味い……」