ドキドキ度も、少し落ち着きだしたころケーキセットが運ばれてきた。
あたしはモンブランで…。
「そんなに、食えるん!?」
驚きもいいとこ。
千尋の前には、苺たっぷりケーキと季節のフルーツケーキにアップルパイに特大プリンが並べられていた。
「食える!楽勝やっ!」
楽勝やって、プッ!
デザートに勝負を挑んでどうする!?
さっそく食べ始めた千尋を横目で見つつ、あたしもモンブランにフォークを通した。
「うわぁ、めっちゃ美味いねんけどっ!
どないしょ!?」
「どないしょて!千尋、そんなに美味いん?」
千尋って、本当に不思議な男の子だと思う。
ボケっとしてる時もあれば、やたら真面目やったりするし。
見た目に因らず、料理や家事や細かいことが得意で。
凄くかっよく決めているのに、甘い物が好物で口の回りにクリームつけてニコニコしてるの。
なんか、かっこ良かったり可愛いかったり。
「美味いよぉ。
欄さん、あ〜ん?」
「へ!?」
ニコォと笑って、クリームたっぷりケーキをフォークに乗せて、あたしの口に運んでくる。



