でも、千尋は「メイドやから」と意味不明な言い訳を繰り返してばかり。


そして、先にベッドにいるのは千尋。


寝ないわけにもいかなくて。


「ほら、肩まで布団かぶらな風邪ひいてまうよ」


あたしは、千尋と同じベッドに入ってしまった。


出来るだけ距離をあけてはいるけど、シングルベッドだし。

千尋は大きいし。


どんなに距離をあけていても、お互いの肩がぶつかってしまう。



「あ…ありがとう」


肩が触れる度に、あたしの心拍数は上がっていった。


暗がりで、音のない部屋に、あたしの心臓の音が千尋に届いてしまうそう。



ドキドキドキ。


うわぁ、ヤバイ。
寝れない!!



「欄さん、寝れへんの?」

直ぐ隣から、かすれた千尋の低い声がする。


それにも、ドキマギしてしまって、



「えっ! ……うん」


上擦った声を出してしまった。


は、恥ずかしい!


あたし、意識しすぎじゃない?



「そんな緊張されたら、困ってまうわぁ」


千尋にもバレている。


クスッと、潜めて笑うのが聞こえた。